会議や職場での心理的安全性の高め方について色々お伝えしてきましたが、
あらためて、どうしてそんなに心理的安全性が必要なのでしょうか?
それは、端的に言えば、何もしないと職場は「不安な場所」になってしまうからです。
そして、「不安」は成果を出すのに必要な行動を妨げてしまうからです。
職場には「4つの不安」があると言われています。
(出典『チームが機能するとはどういうことか』エイミー・C・エドモンドソン)
(1)無知だと思われる不安
わからないことを質問したくても、そんなことも知らないのかと思われるかもしれないという不安。新入社員や若手等には生じやすいですが、これがあると、一人で抱え込んでしまい進捗を遅らせるというリスクが生じます。
(2)無能だと思われる不安
ミスや失敗した時に「仕事ができないと思われるのでは」という不安。これがあると、自分の失敗を認めない、原因を正しく分析しない、問題を報告しない等のリスクが生じます。
(3)ネガティブだと思われる不安
批判的な意見を言うと逆らっていると思われるのではという不安。業務の改善には過去・現状を批判的に見る視点も必要ですが、この不安があると、意見や提案をしなくなっていきます。
(4)邪魔をしていると思われる不安
他の人に助けや意見を求めたいが、迷惑だと思われるのではないかという不安。これがあると、チームワークができなくなり、個人の成長も止まうリスクがあります。
いかがでしょうか。
心理的安全性が高くない職場では、大なり小なり、こうした不安を多くの人が抱えているのではないでしょうか。
こうした不安があると、結局のところ、
❌ 業務の進捗、目標達成を遅らせる。
❌ 問題解決を遅らせ、問題を悪化させる。
❌ 弱い部分が弱いままで、チームとしての相乗効果を発揮することができない。
ということになってしまいます。
ですので、「不安」は集団が協力して行動するには「足枷」になることがおわかりいただけるかと思います。(もちろん、いい意味での緊張感や責任感は必要です)
それぐらいのことはわかっている、と思われる経営者、管理職の方々もいらっしゃるでしょう。
ところが、そうしたリーダー層は、そのことが見えなくなってしまうものです。
「下位」の方々は想像以上に不安を抱えています。当然です。評価の目にさらされ、人事権を握られているのですから。
リーダー層はそのことを理解し、余計な不安感を取り払っていく努力をしなければチームとしての生産性を上げることは困難です。
「心理的安全に最も影響をもららすのは、一番近くにいるマネージャーや監督者や上司である」と、前述のエイミー・C・エドモンドソン教授も指摘しています。
気づいた上司、経営者から、社員が不安を感じていないかに意識を向け、職場の不安を取り除く行動を取っていただければと思います。