「採用が難しい」「人が辞めていく」。
という人手不足を嘆く声を、あちこちの企業でお聞きします。
東京商工リサーチの記事によると、2024年1月〜11月の「人手不足」を理由にした倒産は266件と、前年の年間159件を岩回り、増加傾向にあり、人手不足・採用難が深刻化していることが伺えます。
ある社長は、「今の時代は採用する力が無ければ企業は存続できない」と話していました。
その通りで、たとえ商品力や優れた事業戦略があったとしても、それを動かす「人」が集まる会社でなければ、存続できない時代に入ってきています。
では、「人が集まる会社」とは?
「人が集まる会社」にするにはどうしたらいいでしょうか?
もちろん様々な採用術はあるかもしれませんが、一時的に上手く人が取れたとしても、会社がいい状態でなければ、やがて辞めていかれますね。
有名なハーズバーグの二要因理論によると、働く人のモチベーションには、「衛生要因」と「動機づけ要因」の二つがあります。
「衛生要因」は給与や福利厚生、同僚や上司との関係です。これらは「不満足要因」と呼ばれ、最低限整っていないと不満を感じさせてしまいますが、かといって上げ過ぎてもやる気にはつながらない要因です。
一方の「動機づけ要因」は、「達成感」「承認」「仕事そのものへの興味」「責任と権限」「昇進や成長」といった精神的なものですが、これらは「あればあるほど仕事のモチベーションが高まるもの」です。
もちろん、給与や福利厚生といった待遇面も大切で、最近は賃上げが求められていますが、中小企業ではすぐに対応することが難しいのも現実です。また、上げるほど動機づけになるかというと、必ずしもそうではありません。
一方で、衛生要因の中の「関係性」や「動機づけ要因」の様々な項目は、実は、すべて「良好な人間関係とコミュニケーション」で実現できるものです。お金がなくても、社長が社員に、上司が部下に与えてあげることができます。
2024年の新入社員の意識調査でも、「仕事をするうえで重視すること」という質問に対して、1番は「成長」。「金銭」は9番目と、若者の意識が変化していることが伺えます。
待遇で勝負することが難しい中小・零細企業が「人が集まる会社」になるには、益々人間関係を良好にし、一人ひとりの存在と貢献を認め、成長と自己実現を後押しするような組織づくりが必要です。
人間関係のベースは「心理的安全性」です。
これを高めていき、何でも話し合うことができ、助け合い、どんどん任せていく組織にしていくことが「人手不足倒産」を避ける鍵になると思います。