イギリスにこんな格言があります。
馬を水飲み場へ連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない。
“You can take a horse to the water, but you can’t make him drink.”
あなたは、どんな風に受け止めましたか?
会社の経営に置き換えると、「水飲み場へ連れていく」とは、社員に期待通りの働きをしてもらおうとして、指示をしたり、会議をしたり、研修を受けさせたりすることでしょう。
それに対して、「水を飲む」とは、社員が自ら意欲を持ち、知識を吸収して、主体的に考えて動くということでしょう。
確かに、「水飲み場に連れて行った」からといって、「水を飲む」とは限らないですね。
逆に、無理やり連れていけば行くほど、飲む事を拒否するでしょう。
学校教育でも同じです。
先生が色んな教材を用意し、一生懸命講義しても、生徒が自ら学びたいと思うとは限らない。
逆に、そうすればするほど、生徒は意欲を失うかもしれません。
結局、「水を飲んでほしい」と思ったら、相手に「飲みたい」という気持ち、つまり「渇き」を持ってもらう必要があるわけですね。
それを上手に引き出す行為がファシリテーションであり、役割としてのファシリテーターです。
その逆の「ティーチャー」は、「これを理解して下さい」「これが大事ですので、実行して下さい」という結論だけを伝えて、相手に「飲ませようと」します。
でも、人間は、自分で考えて、決めたことでなければ、やりたいとは思わないのが常です。
硬い言葉で言うと、自らの「認識行為」を経た結論でなければ納得できず、納得感がないことをやろうとは思わないのです。
ですので、最初の時点の「渇き」が大切です。
では、どうしたら「渇き」を引き出せるのか?
テクニック的なことは色々ありますが、ここでは、一番大事な「視点」だけをお伝えします。
それは、こちらの考えを押し付けるのではなく「相手がイチから考えることを手伝う」という視点、姿勢です。
つまり、疑問を持つこと、知ること、考えること、考えを話すこと、決めること、その一連の「認識行為」を、相手がする機会を与えることです。
簡単に言えば、その一つが「情報共有」です。
リーダーの皆さん自身、自分の今の考えに至った情報や知識があると思います。
自分の考えを結論として語る前に、判断材料となる情報をしっかりと共有すること。
そして、あなはどう思う?
どうしたらいいと思う?
と聞いて、考える事を促す、ということです。
人は一人一人見ている風景も、吸収している情報も違います。
が、私たちはそのことを忘れがちで、人が自分と同じ認識に立っているだろうと思い込みがちです。
まずは、そこを自覚して、相手が「水を飲みたくなる」状態にすることを意識しましょう。
それがファシリテーターマインドの第一歩です。
今日も、ご精読、ありがとうございました。