研修なんて、どこに頼んでも内容は似たり寄ったりではー
そんな風に考えていらっしゃる経営者や人事の方も多いのではないでしょうか。
例えば「ファシリテーション研修」を大手研修会社はどんな内容で行なっているでしょう?
と、私自身、研修講師を務める身として検索してみることがあります。
すると、はい、確かに大体同じような内容で「元の出所はあそこだなぁ」等と思うことがあります。
もちろん、それぞれの会社のやり方があるので、それをどうこう言うつもりはありません。
効率を考えると一般的な内容にせざるを得ないという事情もあるでしょう。
ただ、私自身は、やはり、それぞれのクライアントの現場に即した内容にしないと受講者にとって「腹落ち」しないということをこれまでの経験で感じているので、できるだけ「カスタマイズ」することにしています。
では、どうやってカスタマイズしているのかをお伝えしたいと思います。
最近行った岐阜県内製造業企業様の「文書作成力向上研修」を例に紹介します。
ご依頼から登壇までの流れは以下の通りでした。
ご依頼
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⒈ ヒアリング
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⒉ 現物の社内文書の確認
↓
⒊ 社内文書の修正例作成
↓
⒋ 社内文書に即した講義内容(作成のポイント)の立案
↓
⒌ 社内文書に即した演習の立案
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登壇
まず大事なことはステップ1の「ヒアリング」です。
ここで、「具体的に誰が何に困っているか?」を聞き出さなくては、的確な内容の研修にできません。
クライアント様もご依頼の時点ではそれを明確にできていなかったり、絞れていなかったりすることがよくあります。
今回も最初は「コミュニケーションの研修を2時間でやってほしい」という漠然としたものでした。
2時間という条件があるなら、欲張らずに的を絞らないと効果的にはなりません。
そこで、私は「コミュニケーションと言っても、話す方か書く方か、どちらの方がお困りでしょうか?」と尋ねました。
そうすると、「今困っているのは文書の方です。ビジネス文書です。」と。
ビジネス文書と言っても、1冊の本になるぐらいまだ広いですね。
以下、こんなやりとりをしました。
「では、特にどんな文書でお困りでしょうか?提案書でしょうか?報告書でしょうか?」
「報告書です」
「なるほど。どういう職種の方ですか?」
「中堅の技術職です」
「なるほど。営業の方の提案書ではないと。報告書にどんな問題があるのですか?」
「打ち合わせの結果等がわかりにくいんです」
「わかりました。では、報告書に絞ってよろしいですか?他の文書にも共通することをお伝えしますので。よろしければ、その報告書の例をいくつか送って下さい」
ということで、報告書の例をいただき、内容を確認しました(ステップ2)。
すると、元の文書には以下のような問題点がありました。
・報告書に必要な情報が押さえられていない(「感想」があるが、「今後の対応」がない等)
・「ベタ書き」で、情報が項目ごとにグループ分けされておらず読みにくい
「論より証拠」。
何かを教えるときには、一般論を説明するよりも、まず「現物を見せる」というのが鉄則です。
ということで、私の考える修正案を作成しました(ステップ3)。
お見せできないのが残念ですが、元の文書を生かしながら、必要な情報を網羅したわかりやすい文書にブラッシュアップしました。
それを研修の最初にお見せした後、以下のスライドにあるわかりやすい文書作成のコツをお伝えして、各自の報告書を修正する演習を繰り返していただきました。
研修終了後、人事担当者様からは以下のようなお言葉を頂戴しました。
こちらのニーズを汲み取っていただき、安心して開催できました。
具体的な事例をとりいれた資料を作成いただきありがとうございました。
講義だけではなく、受講者に考えさせ・発表させる研修内容でとてもよかったです。
これがカスタマイズの事例です。
ご依頼の時間や予算の中で、学習効果を最大限に高めるには、やはり「的を絞る」ことが大切です。
そのためには、状況やニーズを詳しくお聞きして、それにぴったり合った事例と講義内容で学んでいただくことが最適です。
それが可能なのは、大きな研修会社ではなく、個人でやっているため柔軟な対応ができること。
また、私の場合、マスコミ経験や教育・研修についてのノウハウを豊富に学んでいることで、的確な教材・プログラムを作成することができることがあります。
社員教育でお悩みの方はお気軽にご相談いただければ幸いです。