人間関係を築く「非暴力コミュニケーション」

ファシリテーションのことなら、岐阜県唯一の専門家にお任せを。ファシリテーションとは会議を円滑に進行し、チームの力を最大限に引き出すこと。ファシリテーターとは単なる司会ではなく意見とやる気を引き出す役割。中小企業等の組織活性化、心理的安全性の向上、風土づくり、チームビルディング、SDGsの促進等に必須のスキルです。管理職等の人材育成、社員教育に、その意味や手法、コツを研修や講座でお教えします。オンライン会議、WEB会議も対応。地域は岐阜、愛知、名古屋、東海地方はじめ全国に対応。

いきなりですが、人間関係について悩むことはありませんか?

会社であれば部下や社員、あるいは、上司や先輩、同僚との関係。仲間同士の人間関係。

もしくは、地域でも家族でも、何かをきっかけに相手が怒ってしまったり、自分が怒ってしまったり、あるいは、そうした感情を出せずに気を使い、ストレスを抱えてしまったり。

かく言う私自身にとっても、人間関係は永遠の課題です。

人間関係についての課題があるとき、自分の気持ちや考えを抑えて相手に合わせてしまうか、相手の気持ちよりも自分の気持ちや考えを優先して押し付けてしまうか。

私たちは、この「二択」しかないと思ってしまいがちで、お互いの気持ちを満たす解決策を探るという「第三の道」が取れない、もしくは、最初から諦めてしまっているということがよくあると思います。

しかし、人間関係が良好でなければ、会議等の話し合いも上手くいきません。

これまで企業等の組織における会議の改善を支援してきましたが、日常での人間関係に安心感や信頼感がなければ、いざ会議の場で自由に意見を交換するということは難しいことを実感してきました。

人間関係は、農業で言うと「土」であり、それを築くことは「土づくり」に例えることができます。

美味しい果実を継続的に得ようと思えば、栄養分豊富で風通しのいい「土」をつくらなければなりません。逆に、いい土ができれば、無理に肥料を加えなくても放っておいても、健康的で美味しい作物が自然とできます。「急がば回れ」ですね。

人と人が協働する際の人間関係の重要性を、年始に当たってあらためて強調しておきたいと思います。

さて、とは言え、いざ現場では難しいのも事実です。

どうしたらいいのでしょうか?

新年、一冊目に読んだ本、『「なんで、わかってくれないの!」と思ったときに読む本』が、そのヒントを与えてくれます。

この本は、「非暴力コミュニケーション(Non-Violent Communication)」という手法を学んだベルギーの弁護士が、自身の実践や体験談を元に書いたものです。

「非暴力コミュニケーション」については、また別途詳しくお伝えしたいのですが、この記事では、この著書のメッセージとポイントだけを簡潔に紹介したいと思います。

メッセージは、<「いい人」であることをやめて自分に正直になろう>です。

これだけだと単純ですが、自分の欲求(本心で望んでいること)を掘り下げてみて、それを自覚し、言葉にしてみようということです。

例えば、「尊重されたい」「安心・安全な場にいたい」「自由でありたい」等。

それを意識することで、自分自身のモヤモヤ、イライラが減り、冷静な心になって相手とコミュニケーションを取ることができるようになります。

また、相手に対しても「欲求」に意識を向けることで、言葉や態度の奥にある「本当に望んでいる思い」を知ることができます。

その欲求を、こちらも相手自身も理解することで、不満が解消され、相手との間に「共感」が生まれます。

著者は、それを「心の井戸に降りて水を汲む」と例えています。

また、私たちは、「欲求」レベルでは誰しもが普遍的な欲求を共有し、「深い井戸の底でつながっている」と著者は言います。とても的確で素敵なイメージの比喩だなと思いました。

確かに、私自身の経験でも、この「非暴力コミュニケーション」を知り、「欲求」という視点で人を見るようになってから、人間は個性は違えど、誰しも精神的な欲求を満たそうとしている存在という意味で同じだなと、自分と人はそんなに違わないんだという認識を持つようになりました。

そして、私が思う大事なポイントは、この「欲求」と、それを満たす「手段」を区別するということが、コミュニケーション、特に合意を図るときには必要だという点です。

得てして、私たちは、「欲求」は言わずに、「手段」だけをいきなり言う、ということをしがちです。

例えば、「早く片付けて!」とか「おしゃべりしないで!」とか。

それぞれ、そうしてほしい理由=満たしたい欲求があるはずです。

前者なら、「綺麗にしておきたい」とか、後者なら「静かに仕事がしたい」や「秩序を保ちたい」など。

そうした欲求を自覚して、それも伝えた上で、満たすための手段を相手にお願いする、もしくは、相手に考えてもらうか、相手と一緒に考える。

そういうコミュニケーションをすると、相手を不快にせず、両方の欲求を満たすことができます。

この本で紹介されている伝え方はもっと長く、詳細ですが、大事なエッセンスは自分自身も他者に対しても「欲求」に着目するということです。

簡単に言うと、「何を満たしたいのかな?」という疑問を向けてみること。

相手の場合は、それを本人が自覚できるように言葉で導いてあげること。

この著者は、それを、問題行動を起こす多くの少年少女に対して実践し、彼らを立ち直らせ、有意義な人生を送る方向に向けさせることに成功しました。

自分が望んでいることに正直になり、それを言葉で伝えること。

また、相手の望んでいることにも恐れずに向き合い、聴いてみること。

それが良好な人間関係を築く上で大切なことだと、この本は教えてくれています。

興味が湧いたら、是非ご一読下さい。

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この記事を書いた人

井坂 泰成

合同会社ひとのわ代表社員。ファシリテーター・人材育成コンサルタント。東京大学文学部卒。NHKディレクター、国際協力NGO・JICA、コンサルティング会社等を経て創業。ファシリテーションスキルと元マスコミならではのわかりやすい説明力で、組織や地域における「対話」の支援とファシリテーションや支援型リーダー育成研修等の人材育成を行っています。