「コミュニケーションはいい」のに不満が出るワケ

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「うちはコミュニケーションはいいです」
「コミュニケーションは結構できてます」

職場のコミュニケーションはどうですか?と聞くと、そう答える方が少なくありません。

しかし、実際にはそんな会社に研修で入り、ディスカッションをしてもらうと「同じ部署なのにこんなことも話し合ってなかったんだ」と驚くことがあります。

また、経営者や管理職はそう思っていても、社員には不満が溜まっているということもよくあります。

先日も、ある経営者の体験談をお聞きしました。

「意見があったら意見箱にと言ったら、経営陣への不満を長々と書いた投書が来てショックを受けた。うちはコミュニケーションがいいと思っていたのに…」と。

私も気の毒に思いました。

ただ、その要因として、「コロナ禍で朝礼や飲み会ができなくなっていた」ことを挙げていたのには少々疑問を覚えました。

なぜなら、全員で集まらなくても、お酒抜きでも、しようと思えば「対話」は常にできるからです。

逆に、朝礼や飲み会を形だけやっても、「本音」を聞こうという意図がなければ、表面的な会話に終始してしまうでしょう。(会話がないよりはマシでしょうが)

「コミュニケーション」と言っても、問題はその中身です。

会話はされていても世間話や趣味かもしれませんし、せいぜい業務の指示や確認レベルかもしれません。(多くの職場ではそうだと思います)

これは「浅い」コミュニケーションです。

一方で、「深い」コミュニケーションもあります。

対話」と呼ばれるものです。

困っていることや不満なこと。

どうなるといいか、どうしたいか。

そういった日頃表には出しにくい「本音」を聞いて、こちらも本音で答えること。

当たり障りない人間関係を超えて「信頼関係」をつくるためには、こうした対話が必要だと思います。

コミュニケーションで最も大切なことは、相手の言わない本音の部分を聞くことである。

“The most important thing in communication is to hear what isn’t being said.” 

Peter F. Drucker

「現代経営学の祖」として有名なドラッカー氏の言葉ですが、本当にその通りだと思います。

もちろん、相手の本音を聞くことは怖いことでもあります。

「経営者は社員の不満を聞くのが怖い」という声もお聞きします。

一方で、社員は経営者に不満や意見を言うことが怖い。

どちらも、お互いを怖がっている状態。

私には、ちょっと悲しい、残念な状態に思えてなりません。

お互いが心を開いて対話し、同じ方向を向いて協力し合えば、幸せに協働できるのに、と思うのです。

私としては、その「橋渡し」や「きっかけづくり」をしていきたいとあらためて思いますし、経営者等リーダーのみなさんには、是非、勇気を持って自分から「対話の機会」をつくっていってもらえればと願わずにいられません。

どちらにそれをする余裕があるかと言えば、やはり「リーダー」の方ですから。

「コミュニケーション」を超えて、「対話」を。

お読みいただき、ありがとうございます。

今日も良い一日をお過ごしください!

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この記事を書いた人

井坂 泰成

合同会社ひとのわ代表社員。ファシリテーター・人材育成コンサルタント。東京大学文学部卒。NHKディレクター、国際協力NGO・JICA、コンサルティング会社等を経て創業。ファシリテーションスキルと元マスコミならではのわかりやすい説明力で、組織や地域における「対話」の支援とファシリテーションや支援型リーダー育成研修等の人材育成を行っています。