問題が起きた時のファシリテーション〜あなたはどう問いかけますか?

ファシリテーションのことなら、岐阜県唯一の専門家にお任せを。ファシリテーションとは会議を円滑に進行し、チームの力を最大限に引き出すこと。ファシリテーターとは単なる司会ではなく意見とやる気を引き出す役割。中小企業等の組織活性化、心理的安全性の向上、風土づくり、チームビルディング、SDGsの促進等に必須のスキルです。管理職等の人材育成、社員教育に、その意味や手法、コツを研修や講座でお教えします。オンライン会議、WEB会議も対応。地域は岐阜、愛知、名古屋、東海地方はじめ全国に対応

先日、ある勉強会に参加していたとき、参加者の一人の方が「失敗談」を話してくれました。

その方(Aさんとします)は会社員で、一人だけ部下を持つ上司の立場。

その部下(Bさん)に、顧客に商品案内の書類を発送するよう頼んだところ、宛先を間違えて送ってしまったそうです。

書類は種類が複数あり、それぞれ顧客の層が異なっていました。

「どうして間違えたのか?」

再発防止のため、Aさんは習ったばかりのファシリテーションスキルを活かそうとしました。

一方的に叱るのではなく、Bさんに「問いかけ」をしたのです。

その時のやり取りは、こんな感じだったと言います。

 Aさん 「どうして、間違えたのかな?」

 Bさん 「…確認不足でした」

以上。(笑)

Aさんとしては優しく聞いたつもりであり、色々聞き方も変えたそうですが、結局、Bさんからは「確認不足」という答えしか引き出せませんでした。

無理もないと思います。

ヒューマンエラーに対して「なぜ?」と聞いた時には、「注意不足」「意識の問題」等で終わってしまいがちです。

よく、問題解決のセオリーとして「なぜ?を繰り返せ」と言いますが、場合によると思います。

「なぜ?」は、あくまで、物の故障や、工場のラインの不具合等の「物理的環境」に対しては有効でしょう。

しかし、人間を相手にする場合は、「なぜ?」には二つの問題があります。

一つは、「ネガティブ」なニュアンスがあるからですね。

問われる側はどうしても「責められている」と感じ、防衛的になってしまい、それによって、客観的に考え、話すことが難しくなってしまいます。信頼関係があれば別ですが、弱いとなおさらそうですね。

もう一つは、「なぜ?」という問いだと、「観察」ではなく、「思考」を導いてしまいがちということです。

本当は、問題解決には、現場の状況や実際に取った行動を時系列・層別で正確に「観る」ということが大事です。

「なぜ?」は、その過程をすっ飛ばして、「頭で考えた、正確ではない答え」を招いてしまいがちです。

ですので、正確にふりかえってもらう必要がある場合は、

何を、どこで、どんな手順でやったの?」という「事実質問」を使った方がいいです。

もしくは、同じ再発防止を図るにしても、「未来志向」の問いかけをした方がいいでしょう。

例えば、「正確に発送するために、今後はどうしたらいいかな?」と。

これなら前向き、ポジティブなニュアンスなので、問われる側の心理的なハードルも下がるでしょう。

その勉強会でもそのようにアドバイスし、Aさんも納得されていました。

みなさんも納得がいきましたら、ぜひトライしてみて下さい。

今日も充実した一日を!

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この記事を書いた人

井坂 泰成

合同会社ひとのわ代表社員。ファシリテーター・人材育成コンサルタント。東京大学文学部卒。NHKディレクター、国際協力NGO・JICA、コンサルティング会社等を経て創業。ファシリテーションスキルと元マスコミならではのわかりやすい説明力で、組織や地域における「対話」の支援とファシリテーションや支援型リーダー育成研修等の人材育成を行っています。