今やすっかり定着したオンラインでのセミナーやワークショップ。
自分が主催者や進行役になったことがある方も少なくないと思います。
その中で、参加者同士で感想を言ったり、「問い」を元に対話する「グループワーク」
(ZOOMで言うと「ブレイクアウトセッション」)を導入する場合がありますね。
そこがスムーズに行くかどうかで、参加者の満足度やその場全体の充実感が違ってきます。
進行を経験したことのある方は、「難しい」と思っていませんか?
慣れている人には当たり前かもしれませんが、私が考える「こうするといい」
ブレイクアウトセッションの進め方をご紹介したいと思います。
まず、基本的な考え方として、オンラインでは、対面よりも、
明確で具体的に「指示してあげる」必要があります。
初めて同士の人たちの場合は特にですが、オンラインではなかなか声を出しづらく、
進行役や話す順番一つとっても決めるのが難しいからです。
「参加者の自主性に任せる」という考え方もあるかもしれませんが、
それは、「場が温まってきたら」、もしくは「一つの組織をチームに育てていく場合」には
あっていいでしょうが、「まだ温まっていない段階」や「その場限りの場」においては、
「お任せします」は、「無意味な停滞」や「発言者の偏り」を招くだけで、お勧めしません。
さて、明確で具体的に「指示してあげる」には、準備が必要です。
ブレイクアウトセッションを始める際に、「決めておき、伝えておき、残しておく」ことです。
決めておきたいのは以下の項目です。
⒈ 話す内容(テーマ、問い)と順序
自己紹介から始める場合は、自己紹介の内容も(例えば、①氏名、②地域、③参加の動機、④マイブーム等)
⒉ グループ内の役割
役割は進行、記録、発表とありますが、人数次第で、一人に兼務してもらうか、進行役、記録・発表
兼務に分けたりすることが多いです。
決め方は、番号がある時は番号順、ない時は「苗字のあいうえお順」等。
(グループで「ジャンケン」等で決めてもらう場合もありますが、グループに委ねるにしても「決め
方」は指示しておいた方がいいです)
⒊ 話す人の順番
これもやはり番号順、もしくは「あいうえお順」が多いですが、オンラインの場合、
緊張しやすいので、どういう順にせよ進行役から自己紹介をした方が他の人にとって
やりやすいと思います。他にも「北から南(その逆も)」といったアクセス場所の順等が使えます。
⒋ 記録の方法
手元の紙に書いてもらうか、パソコンのメモ機能やアプリケーション、もしくはオンラインツール等
が選択肢としてありますが、個々の参加者の可能な範囲に応じて記録をお願いしておきましょう。
⒌ 発表の方法・内容
何も指示しなければ、書いたこと全てを言おうとすることがよくあります。
「1分以内で」や、「大事な点から」「みんなが共感した意見を中心に」等、
ある程度絞ってもらうよう意識してもらった方がいいでしょう。(発表の開始時にももう一度)
以上のことを事前に決めておき、それをブレイクアウトを始める前に、
きちんと説明することが大事です。
なおかつ、グループに分かれてからも、何をどうすればいいかがわかるよう、
指示が各自の手元に「残る」ようにしておく、と円滑になります。
説明を書いたスライドを見せることはよくやると思うのですが、
それだけでは、ブレイクアウトに入るとわからなくなります。
対策としては、
①同じ内容をチャットでも送る
②スライドのスクリーンショットをとっておいてもらう
③オンラインツールで記録してもらう場合はそこにも書いておく
という手があります。
ちなみに、ZOOMでは「ブロードキャスト」という一斉連絡の機能がありますが、
これは気づかれないこともよくあります。
とにかく、一度ブレイクアウトセッションが始まってしまうと、
細かい指示や修正は出しづらくなります。
ですので、できるだけ事前に準備しておきましょう。
「主催者が楽をすれば参加者が苦労し、
主催者が苦労すれば参加者が楽にできる」
と、思います。
「ファシリテーション」とは、物事を「やりやすくする」ということ。
参加者が無駄な苦労をせずに意味ある充実した時間を過ごせるよう、
オンラインではしっかりと準備いたしましょう。