先日、ある事業所で「メンター育成」の研修に登壇しました。
新入社員を教育する役割を与えられた社員(基本は2年目の方)に対する「上手な教え方」の研修です。
そうした研修を行う目的には、新人の「離職防止」や「エンゲージメント向上」があります。
ご多分に洩れず、その事業所でも若手の早期離職が問題になっているからです。
こうした研修に取り組む事自体は素晴らしいと思います。
ですが、受講者と会話するうちに、あることに気がつきました。
それは…「何を教えたらいいかわかっていない」受講者が多いことです。
上司からも何も言われていません。
つまり、「組織としての教育の計画性がほぼない」ということです。
「では、新人さんはどうしているんですか?」と聞くと、
「座って指示を待っていて、やることができたらやってもらっています」と。
…こんな非効率な教育では、先が思いやられます。

教育の計画性とは、以下のことを決めておくことです。
何を・いつ・誰が教えるか。
どんな基準に、いつまでに到達してもらうか。
それらをできるだけ具体的に、数値も含めて明確にすることです。
そして、「何を」の内容には大きく以下の三つがあります。
意識・知識・技術 です。
意識:顧客意識・プロ意識・チーム意識
知識:一般知識、業務知識、業界知識
技術:一般技術、専門技術
大事なことは、新人教育をメンター(教育係)任せにせず、職場全体で取り組む事です。
新人にとって、メンターが相談相手として決まっていることは大事です。
が、新人と職場の人たちとの関係づくりという意味でも、全員が先生役になることや、教える内容についてのアドバイスをすることが必要です。
人手不足の中、新人教育は、益々重要になっています。
上司・先輩が相談相手になりながら、教育計画を立て、上手に育てていきましょう。

