ワークライフバランスの本質とは
「ワークライフバランス」が再び話題になっていますね。
この言葉が広がって久しいですが、まだどこか「やさしさ」や「福利厚生」の話と受け止められがちです。
下手すると、社員に辞められないために渋々与える「恩恵」のような。
しかし、ワークライフバランスの本質はそういうものではありません。
それは、逆に、“生産性を上げるための戦略”です。
長く働くのではなく、賢く働く。ということ。
単純に働く時間を減らせばいいという話ではなく、「同じ利益をより少ない時間で生み出す」。
つまり、仕事の「質」を上げることが主眼にあります。
生産性向上の鍵は「質」の向上
生産性とは、仕事の質 × 量 ÷ 時間 で表せます。
1時間なら1時間の間で、価値の高い仕事をどれだけ数多くできるか、という話です。
ここで気をつけたいのは、「時間」は本来限られているということです。
一日24時間、週5日、月160時間――これを増やすことはできません。
つまり、生産性を上げるためには「質」か「量」を増やすしかなく、当然ですが、決定的な要素は「質」になります。
商品・サービスの付加価値を高める、或いは、マーケティングや営業の成功確率を上げるということになります。
必要なのは「知恵」を生む「考える時間」と「関係性」
では、「質」を上げるには何が必要でしょうか?長時間労働でしょうか?いいえ、全くそうではありません。
シンプルに言えば、「知恵」です。時代はこれからどうなるのか。自分たちの顧客は誰で、何を求め、どんな価値を、どのように最高の形で提供できるか。情報を集め、考え、形にしていくことです。
それは即ち、あれこれと無駄なことはせず、「的を絞る」ということも意味します。
非効率や不合理な慣習を見直して変えることなく精神論だけで「もっと頑張れ」と言っても疲弊するだけです。
そして、知恵を生み出すのに必要なのは「考える時間」と「話し合える関係性」です。
どれだけ忙しく動いても、知恵を出す余裕がなければ、仕事の質は上がりません。
逆に、短い時間でも、自由に意見を交わせる職場では、効率も創造性もぐっと高まります。
もし、「おかしい」と思うことがあっても誰も言えない職場なら、どれだけ時間をかけても成果は伸びません。
ワークライフバランスは「戦略」
生産性を上げるとは、「がむしゃらに働く」ことではありません。
むしろ、本当に価値のあることに集中するために、事業やサービスを絞ること。
そして、「変化」のために自由に話し合える関係性をつくることです。
だからこそ、ワークライフバランスは「やさしさ」ではなく「戦略」です。
働く人が健やかで、考える時間と話し合える関係性を保てる職場こそ、最も高い生産性を発揮するのです。

