多くの人が悩む「指導」
「部下・後輩を指導するのは難しい」
「間違いを注意したいけど、どう言っていいか」
多くの企業で、こんな声を耳にします。
教える側も、教わる側も、決して怠けているわけではありません。
それでも、指導がうまく機能しない現場は少なくありません。
この問題は、教え方の技術不足として語られがちです。
しかし、実際の現場を見ていると、それ以前に欠けているものがあるように感じます。
教える側・教わる側の「すれ違い」
指導がうまくいかない現場では、次のような状況がよく見られます。
教える側は、
- 厳しく言えばパワハラだと思われるのではないか
- だから、言い方に気を遣い、曖昧な表現になる
一方、教わる側は、
- 何を求められているのか分かりにくい
- でも、聞き返すと面倒がられそう
- 結果として、言われた通りにやるしかない
ここには、対立があるわけではありません。
むしろ、お互いに配慮しているからこそ、本音や考えが出てこない状態です。
問題は「前提」が共有されていないこと
こうしたすれ違いが起きる背景には、
教える・教わる以前の「前提」が共有されていない、という問題があります。
前提というのは、「共通の目的」であり、その目的を共有した関係のことです。
教える前に必要なのは、
「私たちは、何のために教え、何のために学んでいるのか」
という問いです。
多くの現場で、この問いは明示的に扱われていません。
指導の目的は、指導そのものではない
本来、指導の目的は何でしょうか。
- 商品やサービスの品質を維持・向上させること
- お客さんに、より良い価値を届けること
- その結果として、仕事を楽にし、誇りを持てるようにすること
こうした目的が、
教える側と教わる側の間で共有されているでしょうか。
この前提がないままでは、
教える側は「伝えたかどうか」
教わる側は「言われたかどうか」
に意識が向いてしまいます。
すると、指導は「作業指示」になり、
学習は「受け身」になってしまいます。
ある支援現場で起きた変化
私たちが支援する現場では、
いきなり「教え方の技術」から入ることはありません。
まず行うのは、
- この仕事は、誰のためにあるのか
- 品質が上がると、現場はどう変わるのか
こうした問いを、立場を越えて言葉にすることです。
対話を重ねる中で、
「品質を守るため」
「顧客に喜んでもらうため」
「自分たちの誇りのため」
といった言葉が、現場から自然と出てきます。
その目的を共有したとき、
教える側と教わる側の関係は、
上下関係ではなく、同じ方向を向いた「仲間」に変わっていきます。
教える側は「部下に気を使いすぎず、ちゃんと伝えよう」という姿勢に変わり、
教わる側は「良くするために、素直に、しっかり聞く」と考えるようになります。
教える・教わる関係を、「上下関係」にしない
効果的な指導に必要なのは、
いわゆる上下関係ではありません。
**同じ目的を共有し、同じ方向を向いた「仲間としての関係」**です。
その関係があって初めて、
遠慮のない指導と、受け身ではない学習が成立します。
教え方の前に、関係づくりを
指導がうまくいかないとき、
「どう教えるか」を工夫する前に、
一度立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
- この仕事は、何につながっているのか
- お客さんに喜んでもらう品質を守るために、
私たちは、どう教え合う必要があるのか
こうした前提を共有することが、
指導を機能させる土台になります。
合同会社ひとのわは、
教え方の技術を教える前に、
教える人と教わる人が、同じ目的を持てる関係づくりを支援しています。
それが結果として、
現場の品質を高め、組織を強くすると考えています。

