社員に「自分事化」してもらうために、経営者がすべきこと

組織づくりと人材育成のことなら、実績あるファシリテーターにお任せを。自走型組織、自律型組織への組織変革、組織開発、チームビルディング、リーダー育成、社員教育、会議・ミーティングの活性化をプロのファシリテーションの技術で実現します。心理的安全性を向上させ、社員の主体性とやる気を引き出し、持続的に発展する強い組織づくりを伴走支援します。神戸を拠点に関西、東海、岐阜県、全国で対面・オンラインでの研修に対応しています。

「社員がなかなか主体的に動いてくれない」
「結局、自分が指示を出さないといけない」
「仕事を自分事にしてほしい」

そんな悩みを口にされる経営者の方は少なくありません。

中には、「もっと主体的であれ」と「指示」してしまう方も。
しかし、それでは逆効果です。

社員に「もっと自分で考えて動いてほしい」と願うなら、まず経営者自身が変えるべき視点があります。

それは―― “社員にとって、この会社の仕事を自分のものと思える環境をつくること” です。

1. 「自分事」とは何か

「自分事」とは、単に責任を押し付けられた状態ではありません。
「この仕事は自分がやるべきだ」「自分の工夫で良くしたい」と感じられること。

つまり、 責任と権限の両方が与えられ、そこに意味を見いだせる状態 を指します。

経営者が「これはこうしなさい」と、自分の考えを一方的に押し付けるだけでは、社員は“やらされ感”を強めるばかり。
逆に、「自分の考えや判断が尊重されている」と感じるとき、人は自然と自分事として動き始めます。

2. 経営者がまずすべきことは「語る」こと

社員に自分事を求める前に、経営者自身が 「なぜこの会社が存在するのか」「なぜこの事業を続けるのか」を語ることが不可欠です。

人は、単に「売上を上げる」や「コストを下げる」といった数字目標だけでは心から動けません。
その背景にある理念や社会への価値を経営者が語り、社員がそれを共有できるとき、仕事に意味を感じ、自らのものとして取り組みやすくなります。また、社員を大切に考えているという思いを伝え、それを形にしていくことも忘れてはいけません。

3. 「対話」の場をつくる

とはいえ、経営者が一方的に語るだけでは十分ではありません。
社員がそれを自分の言葉にし、日々の業務とつなげて考えられるようにするには、対話の場 が必要です。

対話の場では、

  • 経営者が社員の声に耳を傾けること
  • 社員同士が意見を交わし、気づきを得ること
    が大切です。

ある製造業の企業をお手伝いしたときもそうでした。

「欠品ゼロ」を掲げていたものの、長年達成できずにいたのですが、定期的な対話の場をつくり、相互理解と自由な発想をご支援する中で、次第に社員の自発性が高まりました。

その結果、一人の社員が自ら工夫を凝らし、これまで誰もできなかった「欠品ゼロ」を成し遂げたのです。

それは経営者が社員にやり方の“正解”を示したからではなく、社員自身が「これは自分の課題だ」と腹落ちした瞬間に生まれた成果でした。

4. 「任せる」勇気を持つ

最後に重要なのは、経営者が社員を信じて任せることです。

社員が挑戦する過程では、時間がかかったり、失敗があったりするでしょう。
それでも口を出しすぎず、社員自身の学びと成長の機会に変えていく。

この「任せる」姿勢がなければ、社員はいつまで経っても“指示待ち”から抜け出せません。

ありがちなのは、社長が現場の「TO DO」レベルの事に自分の考えを出してしまうこと。
社員はそれを「指示」と受け止めてしまいます。

また、社長が方針をコロコロを変えること。

これでは、社員は一貫して、自分の考えで進めていくことができません。

一旦方針を決めたら、社員に計画を立ててもらい、それを承認して、口出しせずに任せる。
こういう姿勢が経営者には必要です。

まとめ

社員に仕事を「自分事」としてもらうために、経営者がすべきことは――

  1. 会社の理念や方向性を語る
  2. 対話の場をつくる
  3. 信じて任せる

この3つです。

社員の自発性は、仕組みやルールで無理やり引き出すものではありません。
「自分の考えを大切にされている」 という実感があって初めて芽生えるものです。

経営者が「人を信じる」覚悟を持つこと。
そこから、社員が仕事を自分事としてとらえる文化が育っていきます。

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この記事を書いた人

組織づくりと人材育成のことなら、実績あるファシリテーターにお任せを。自走型・自律型組織への組織変革、チームビルディング、リーダー育成、社員教育、会議・ミーティングの活性化をプロのファシリテーションの技術で実現します。心理的安全性を向上させ、社員の主体性とやる気を引き出し、持続的に発展する強い組織づくりを伴走支援します。神戸を拠点に関西、東海、全国で対面・オンラインでの研修に対応しています。

井坂 泰成

合同会社ひとのわ代表社員/ファシリテーター・人材育成コンサルタント。一人一人が主体的に動いて協力する「共創型組織」づくりの対話支援と研修を行っています。東京大学文学部卒。NHKディレクター、JICA、コンサルティング会社等を経て創業。神戸市在住。