「うちの職場、もっと本音で話せたらいいのに」「どうせ言っても変わらないでしょ」――そんな声を耳にすることはありませんか?
私たちは日々、同じ組織で働く仲間とコミュニケーションをとっていますが、それが「対話」と呼べるものかどうかは別問題です。表面的なやりとりで済ませていたり、遠慮や忖度が先に立って、本音が言えなかったり。けれど今、あらためて「対話」の力が注目されています。
対話とは「本音が交わる」こと
ここで言う「対話」とは、単なる意見交換や情報共有ではありません。「相手の話を受けとめ、自分の内面を言葉にしながら、お互いの理解を深め、何かを共有していくプロセス」を指します。つまり、心の内側にある価値観や葛藤、願いまでも開示し合いながら関係性を育む営みです。
簡潔にいうと、「本音で話し合う」ことです。
当然ながら、勇気がいります。けれどその分だけ、対話がもたらす変化は大きいのです。
対話の効果は証明しにくい
しかし、対話で生産性が上がるのか?組織の利益や目的にとって意味があるのか?という疑問の声が寄せられることがあります。
何となく、人間関係には良さそうだし、悪くはないだろうが、時間とコストをかけるだけの効果が本当にあるのか、と。
確かに、私も対話中心の組織開発をしていて経験的には効果を実感していますが、データで証明しろと言われると答えに窮することがあります。
対話の力:パーソル総合研究所の調査から
そこで、ある調査結果をご紹介します。パーソル総合研究所が2024年に発表したコラム『「本音で話せる職場」は、生産性と創造性が高い』では、非常に興味深いデータが示されています。
「本音で話せる」と感じている従業員は、そうでない人に比べて、自己効力感・組織エンゲージメント・創造性・生産性のいずれの指標においても、明確に高いスコアを示した。
(出典:パーソル総合研究所 https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/column/202406210001.html)
つまり、「対話できる職場」は、単に雰囲気が良いだけでなく、業績や創造力にまで好影響を与えるのです。
なぜ対話が有効なのか?
組織の中で本音を言えるようになると、次のような変化が起こります:
- 相互理解が深まり、摩擦が減る
- 心理的安全性が高まり、挑戦がしやすくなる
- 多様な視点が共有され、イノベーションが生まれる
- 「言われたことをやる」から「自ら考え動く」働き方へ変化する
つまり、対話は「人が変わる」ことであり、「組織が変わる」ための入り口なのです。
ひとのわが大切にする対話
合同会社ひとのわでは、組織開発・人材育成の現場で、「対話」を中心に据えた関わりを続けてきました。経営者と社員の対話、部署を超えた対話、価値観を共有する対話……。
そのなかで私たちが実感しているのは、「人は本音を話せると、自ら動き出す」ということ。そして、それが組織全体の変化につながるという事実です。
最後に:問いを持ってみる
「対話って意味あるの?」という問いに、私たちはこう答えます。
「意味があるかどうか」は、やってみないとわからない。けれど、やってみると、確かに変わる。
そんな実感を、もっと多くの職場で広げていきたいと思っています。
例えば、こんな問いで対話をしてみてください。
「この会社が3年後、どんな風になっていたら、誇らしく幸せに働けるだろうか?」
あなたの職場では、どんな対話が生まれていますか?
どんな対話を生み出していきたいですか?

