組織づくりのOS 「やめる」ことから②「他責から自責へ」

組織のOS=「組織文化」

「良い組織をつくりたい」。

と思った時に、何か制度等を導入したり、スキルを学ぶといったことをしがちではないでしょうか?

それももちろん必要なのですが、そうした「アプリケーション」が効果的に動作するには、
その土台となる「OS(オペレーションシステム)」が健全で機能的でなければならないでしょう。

組織における「OS」とは何でしょうか?

価値観や考え方であり、全員がそれを共有して出来上がる「組織文化」です。

単純に言うと、「消極的」か「積極的」か。「個人主義的」か「協力的」か。
そういった、目には見えない一人一人の「心の態度」のことです。

これが、結局は、長期的には、成果の違いとして表れて来ます。

OSを整えることが、様々な知識やスキルを導入する前に決定的に大事だということ、
そうでなければ、結局知識やスキルも生かされないということを経験上実感しています(残念ながら…)。

やめるべきことの代表は「他責」

そして、OSを整える際に、何かプラスのことをしようとしがちですが、
まずは「マイナスのことをやめる」ことをお勧めしたいと思います。

その「マイナスのこと」には色々ありますが、一番大きいと私が思うのが、これです。

他責 です。

自分以外の人や状況に責任があるとして、とがめること“

デジタル大辞泉(小学館)

問題があると、自分以外の誰かのせいにする態度。

うまくいかないことや、自分が行動しないことを周囲や状況のせいにする考え方です。

「上が変わらなきゃダメだよね…」
「部下が自発的に動いてくれないから…」
「コロナ禍の今、やれることはない…」
「この地域ではそもそも難しいよね…」

等、こんなセリフを聞いたことはありませんか?
いや、あなたが言っていませんか?(笑)

私も、組織にいた若い頃はこういう批判・ボヤキをよくする評論家タイプの人間でした????。

今、自営の身になって、自分に起きる結果は、
いいことも悪いことも自分が原因でしかないと実感します。

仏教で言うところの「善因善果、悪因悪果」ですね。

「他責」文化の悪影響

また、人のことはよく見えます。

他責の発言が多い社員を見ていると、「それはあなたの職務でしょうに。あなたがやれることはもっとあるでしょうに」と思います。

上から下まで、他責の発言が多い組織は、当然ながら上手く行っていないことが多いです。

「他責」は、やる気を削ぎ、チャレンジする意欲を奪い、
自ら何かをしようという主体性を低下させてしまう、組織全体に悪影響を及ぼす悪い思考習慣です。

それをやめ、自責に変えていくことが必要です。

「自責」は「主体的である」こと

自分で自分の過ちをとがめること。また、自分に責任があると考えること

デジタル大辞泉(小学館)

「自分にも問題はなかったか?」
「自分は今どうすべきか?」
「自分にできることは何か?」
と、どんな状況でも、自分に問いを向ける態度のことです。

自分を責めると書くのでちょっと厳しく聞こえますが、
私は「自問」と言い換えています。

これが、「主体的である」ということと同じだと思います。

一人一人が自問し、主体的であることで、前向きな行動が増え、
相互に協力する文化が生まれていくことにつながります。

他責から自責へ まずは笑って「話題にする」ことから

「他責」は、あまりにも自然と多くの人がしてしまっているので、
あまり意識されない、自覚されないことが多いと思います。

ですので、まずは、それを、注意したり叱ったりするのではなく、
ミーティングや対話の場面で話題に乗せて、相手に意識してもらうといいでしょう。

まずは自分が「他責」してしまった時のことを話題に出して、
「そういうことってない?」と他の人に振り、笑いながら話す。

そして、「他責をやめて、自責(自問)でいこう」と呼びかける。

そう言った対話を繰り返して、少しずつ組織文化を変えていくことが、
組織づくりの確かな土台、強い足腰をつくることになると思います。

メルマガ登録

週1回程度、役立つ情報をお届けします。よろしければお気軽にご登録ください(解除はいつでも可能です)。

メルマガ登録

週1回程度、役立つ情報をお届けします。よろしければお気軽にご登録ください(解除はいつでも可能です)。

この記事を書いた人

井坂 泰成

合同会社ひとのわ代表社員。ファシリテーター・人材育成コンサルタント。東京大学文学部卒。NHKディレクター、国際協力NGO・JICA、コンサルティング会社等を経て創業。ファシリテーションスキルと元マスコミならではのわかりやすい説明力で、組織や地域における「対話」の支援とファシリテーションや支援型リーダー育成研修等の人材育成を行っています。