組織をよりよくしようとするとき、多くの人がまず「制度」や「仕組み」や「教育」に目を向けます。
評価制度の見直し、業務フローの改善、KPIの再設定。あるいは、「管理職・リーダー育成研修」「1on1研修」等。
確かにそれらも重要です。
ですが、物事には順番があります。
どんな制度や仕組みも研修も、それを納得の元で受け入れ、自分ごととして取り組む社員の「意欲」がなければ形骸化したり、一時的な効果で終わってしまいます。
私たちひとのわが現場で日々実感しているのは、「制度以上に、日々の関係性の質=組織風土が、組織を動かす」という事実です。
なぜ対話が必要なのか?
組織には、目に見えない“空気”や“文化”が存在しています。これが「組織風土」と呼ばれるものです。
この風土は、リーダーの言動、チーム内の雰囲気、会議の進め方、日々の雑談など、日常のコミュニケーションの積み重ねから形づくられます。つまり、組織風土は制度ではなく、人と人との関わりの中で育まれるものなのです。
そこで必要になるのが「対話」です。
対話とは、単なる情報のやり取りではありません。
「正しさ」で勝つ議論でもありません。
互いの考えや背景、感じていることを持ち寄り、聴き合い、共に考えるプロセスです。
その核心は、「メタ認知」、つまり、「俯瞰すること」にあります。
自分たち自身を一歩下がって省みることです。
例えば、以下のような「問い」で語り合うことです。
「私たちはどんなチームになれたら最高だろうか?」
「どうすれば、部署間でうまく助けあえるだろうか」
「私たちならではの強みは何だろうか?」
こうした問いは、普段はあまり話さない、意識しないテーマでしょう。
日頃は業務のTO DO、技術、進捗管理レベルの話に終始しがちです。
対話は、日常レベルとは異なる意識下にある思いに焦点を当てます。
日頃は意識しないが、心の中にある「本当に大切なこと」や「実は思っていること」です。
これを交換することで、「理解し合えた」「共有できた」「つながれた」という感覚が生まれ、安心感と信頼関係が築かれていきます。
こうした営みの積み重ねが、「組織風土をつくる」ということです。
対話がもたらす変化
対話が組織にもたらす変化には、次のようなものがあります。
- 安心して発言できる空気が生まれる
→ 心理的安全性が高まり、意見やアイデアが出やすくなる - 立場や役割を越えて「ひと」として出会える
→ 相手の背景や想いを知ることで、関係性が変わる - 表には出てこない「違和感」や「声にならない声」が拾われる
→ 組織の“見えない課題”に気づける - 自分の思考が整理される、視野が広がる
→ 一人ひとりが内省し、主体的に動きやすくなる
このような変化が積み重なることで、組織には「聴き合う文化」や「共に考える姿勢」が育ち、やがて信頼と自律を土台とした組織風土が形づくられていきます。
対話は「特別なこと」ではない
「対話」と聞くと、何か特別なスキルや時間が必要だと感じる方もいるかもしれません。けれど、対話のはじまりはとても小さなことです。
- 会議の冒頭に、最近の出来事を一言話す
- 立場の違う相手の話に、遮らず最後まで耳を傾ける
- 「あなたはどう思う?」「何に困っている?」「どうしたい?」と本心を聞く
- 「何を感じた?」という感情のレイヤーにも目を向ける
そんな些細な行為の積み重ねが、組織に少しずつ変化をもたらします。
ひとのわが大切にしていること
私たち合同会社ひとのわは、組織開発やファシリテーションの実践を通じて、対話の力を現場で実感し続けてきました。
変化は、トップダウンの指示では起きません。
人と人が「本音」で出会い、共に未来を考えるときにこそ、組織は自然と動き出すのです。
「組織を変えたい」「風通しをよくしたい」「もっと主体性を引き出したい」
──そんな想いを持つ方にこそ、私たちは「対話」というアプローチを届けたいと思っています。
組織を根本から強くしたい、社員・職員が、仕事を自分事ととらえ、自発的に動く組織にしたい。
そんな方々のお力になりたいです。
どんなお困りごとでもお気軽にご相談ください。

