「社員に意見を求めても、言ってくれない」と、こぼす中小企業の経営者とよくお会いします。
社長としては、会社をこうして行きたいという方針や取り入れてみたい事があって、社員の考えを聞くのですが、特に若い社員の反応が今ひとつ乏しいと。
社長の側に立ってみれば、その残念な気持ちもわかります。
一方、社員の側に立ってみれば、無理もないかなという気にもなります。
なぜ、社員は意見を出してくれないのでしょうか?
その理由を、漠然とではなく、具体的に捉えておくと、意見を引き出すための対処も見えてきます。
上下関係がある組織の中で、社員が意見を出さない(出せない)理由には、主に以下の3つがあります。
⒈安心感がない
言って自分に不利益はないか?
間違った事を言っていると思われないか?
否定されないか?
怒られないか?
何か責任を押し付けられないか?
という不安感が高いこと。
心理的安全性が低く、信頼関係がない状態です。
日頃の関係づくりが大事なのですが、せめて、その場だけでも「どんな意見でも否定しないし、怒らないし、何かやらされることはないから」等と伝えて安心感を持ってもらいましょう。
ここは問題ないという組織もあるでしょう。
その場合は、次の二つです。
⒉ 材料がない
何をどう考えたらいいか情報・知識がない。
判断する「軸」を持っていない。
意外と見落としがちなことですが、「情報共有」です。
社長等、聞く側は「相手もわかってるつもり」になりがちです。情報や知識を十分持っていなければ考えられませんが、それを与えたかどうか。また、経験不足の方は選択肢を判断する「軸」を持っていないことがよくあります。
前提となる情報を十分与え、かつ、選択肢を提示してそれぞれのメリット・デメリットまで伝えてあげると、相手は考えやすくなるでしょう。
⒊ 意味を感じない
自分に関係があるのか?
言ったところで、自分にメリットはあるのか?
意見は反映されるのか?
言うことに不安はない。何を言えばいいかもわかった。
でも、言ってどうなるの? です。
ここで抵抗を感じる社員も多いのではと思います。
社長からすると「自分ごとになっていない」状態ですが、それなら自分ごとにしてもらうために「橋をかける」必要があります。
この話が社員にどう影響するか。
なぜ社員の声を聞く必要があるのか。
聞いた意見をどう反映していくつもりなのか。
そう言ったことを説明して、社員の懸念を払拭してあげましょう。
1、2、3、の要因はどれか一つ、でなはく、ミックスされていることが一般的ですので、相手の反応を見ながら、少しずつ説明してあげるといいでしょう。
社長と社員の間には、持っている情報と考える経験に落差があって当たり前です。
それを埋めるには、上から下へ降りていく。
丁寧に説明して相手の不安や疑問を払拭していくしかないと思います。
この記事が、御社の組織の発展につながれば幸いです。