心理的安全性を高めるとダメになる?
「心理的安全性」を高めると、確かに意見は言いやすくなるかもしれない。
しかし、やり過ぎると、みんな勝手なことや批判ばかり言ったり、お気楽な「ぬるま湯」チームになってしまうのではないか?
そんな疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
特に厳しい社風の中で働いてきた方々からは、心理的安全性についてそのような見方が出てくるのももっともだと思います。
心理的安全性についての疑問や懸念
心理的安全性を高めることへのよくある懸念は以下のようなものです。
心理的安全性が高くなると…
・愚痴や批判ばかり言い出す
・自分勝手な言動をする
・いろんな意見が出過ぎてまとまらない
・雑談ばかりで仕事をしなくなる
・馴れ合いになって成長しない
懸念はわかりますが、これらは誤解です。
問題は「目的意識の共有不足」
みんなが勝手気ままに振る舞ったり、馴れ合いの「ぬるま湯」関係になってしまうとしたら、それは心理的安全性のせいではありません。「目的意識の低さ」のせいです。組織の目的や存在意義が十分に共有されておらず、目標とする基準が低いからです。
組織には「成果」が必要ですが、それを産むには心理的安全性だけではなく、目的・目標(方向性)の共有が欠かせません。
心理的安全性×目的意識で比較した職場
職場の状態を心理的安全性と目的意識(基準)の2軸で捉えると、次のような図で比較できます。
いかがでしょうか?
あなたの職場はどんな状態に近いでしょうか?
心理的安全性は家の土台
心理的安全性は、決して雰囲気をよくするためだけに必要なのではなく、あくまで、成果を出すための「両輪の一つ」であり、家を建てるための土台です。
確かな土台無くして、丈夫な家は建てられません。
丈夫で立派な家を建てるためには、「どんな家を建てるか?」「どのようにして建てるか?」について、みんなの知恵を持ち寄り、お互いが力を最大限に発揮することが欠かせません。そのためには、メンバーが忌憚なく意見交換することが必要であり、そのために心理的安全性が不可欠なのです。
心理的安全性とは「率直に言えること」
あらためて、心理的安全性とは、表面的にいい感じを装うことでも、当たり障りのない会話で「仲良し」になることでもなく、率直に自分の考えを言えること、建設的に反対意見を言えること、お互いにそれを個人的に受け取らないこと、そういう状態のことです。
いわば、みんなが「人」ではなく「事」の方だけに関心を持っている状態とも言えます。
心理的安全性についての誤解を解いて、有効に活用していただければと思います。