部下・後輩の力を引き出すには?
先日、岐阜県は神戸町にあるユニオン電子工業株式会社様からご相談いただき、
管理職・中堅リーダー層の皆様への「部下・後輩への上手な教え方」という研修を実施致しました。
ユニオン電子様は、「ものづくり」のプロ集団。
パソコンやスマホ用の電子部品の製造・検査を世界的な大手メーカーから長年に渡って受注しています。
また、その経験を生かして、製造コンサルティングや農業にも事業展開している成長企業です。
そんな企業にもお悩みはあり、それが「人材育成」でした。
現場で起きる様々な問題に対して、スタッフが自発的に考えて的確に対応してほしい。
そのためには、管理職や現場リーダー達が上手に教え、引き出し、導いてほしい。
しかし、そうした「指導」のノウハウが「自分自身も含め、上位者に欠けている。
どうしたらいいかわからない」というのが、社長のお悩みでした。
そこで、一度外部の講師に教育してほしいということで、私にご依頼を頂きました。
褒めて伸ばし、信頼関係を強める
今回は「接し方・教え方」に的を絞り、
2回に分けて以下の研修を行いました。
1回目「教え方の基本と信頼関係の築き方」
わかりやすい「ティーチング」、
できるようになる「トレーニング」、
考えさせる「コーチング」という3つの教え方の技術の概論と、
それらのベースになる「信頼関係を築くコミュニケーション」を学んでいただきました。
特に強調したのが、できたことや成長を「褒める」ことです。
2回目「考えさせる教え方」
1回目で学んだことを職場で実践した結果をふりかえりつつ、
2回目は主に「コーチング」技術を元にした、
相手に考えてもらう簡単な「問いかけ」を学んでいただきました。
受講者の声
2回目の研修が終わった直後の受講者の感想です。
「教育に対する心構えが変わりました」等、皆さん、様々な気づきを得ていました。
「教育」に対する心構えが変わりました。後輩達の自主性をサポートできるような教育ができたら良いと思ったので職場でどんどん実践していきます。(20代・リーダー Sさん)
…とても話が分かりやすく、聞いていてすぐに吸収できるほどに良かったです。今までは自分の言い分ばかり言ったり相手の意見をさえぎったりして上手く立ち回れなかったのですが、相手の意見を最後まで聞くことや傾聴を意識してコミュニケーションを取ることで、相手側に不快な気持ちを与えずに互いに意見を言ったりして、上手くコミュニケーションが取れた気がします。(20代・一般職 Nさん)
今回の研修で学んだ事は相手を理解し、話をしっかり聞く。その中で相手の意見を共感する事で引き出しが増え、見えていなかった問題点が見えてくる事がためになりました。普段人に対して欠点が目に入っている自分がいるので、相手の良い所を「ほめる」ことを意識したい。(40代・係長 Mさん)
コーチングといったセミナーには何回か参加しましたが、今回、社内の社員同士での参加という点で、自社の問題に対して話し合いが出来た事が、大変役に立ったと感じています。(40代・係長 Iさん)
講習2回を通じて一番感じた事。人の話を聞き入れ、その相手の良さに目を向け、物事を一緒に考える事をしていこうと思う。同じ目線で共感する事で、話しやすい環境をつくれると◎。職場の問題も聞き出しによっては、早く情報が得られる可能性はある。(40代・部長 Oさん)
その2ヶ月後の成果
さらに、2ヶ月後にフォローアップも行い、その間の職場での実践と気づきを共有したところ、
とても嬉しい成果をたくさん聞くことができました。
今まではトラブルの報告を受けた際、相手の話を聞かずに自分が決めつけていました。受講後、まず相手の話を聞くようにしたら、トラブル解決がスムーズになりました。また、部下から「これ、やってもいいですか?」と聞かれるようになり、コミュニケーションが増えました。
「傾聴」を心がけるようにしました。
すると、相手が何を思ってそうなったのか、相手の気持ちがわかるようになりました。
仕事の話の前にまず「アイスブレイク」(雑談)からするようにしました。
表情が和らいで話しやすくなりました。
「褒める」ようにしました。掃除してくれたら「綺麗になったね!」、良い仕事をしてくれたら「ありがとう!」と。そうしたら、「これはどうしましょう?」と、部下から相談してくれるようになりました。
「改善活動やってみる?」と、相手の意思を確認しながら教えるようにしました。
後輩に少しずつ自発性が出てきたと思います。
「傾聴」「承認(褒める)」「声がけ・雑談」「問いかけ」と、
研修でお伝えした事を現場で実践していただいたおかげで、
着実に変化が生まれた様子で、とても嬉しくなりました。
組織の問題解決は良質なコミュニケーションから
生産性を上げる鍵は、良質な「コミュニケーション」です。
どんな問題の解決も、スムーズな情報伝達や意思の疎通なしには困難です。
そのためには、まずは話しやすい雰囲気をつくること。
そして、上司・先輩は「聴く力」をつけることが大事です。
そのためには、研修の場で、「自分の話をしっかりと聴いてもらう」こと。
つまり、傾聴してもらう体験が必要です。
その価値、ありがたみが実感できれば、自ずと、
相手にもそうしてあげようという意識が芽生えます。
(それなしに、「傾聴しましょう」とお説教しても、行動に変えるのは難しいでしょう)
そして、もう一つは「承認」。人の良さを認めて、言葉にすることです。
これも、やはり、自分がそうしてもらうことで、その意義を実感できます。
普段は中々難しいことですので、研修という非日常の場でしっかりと体験していただき、
そのコツを学んでいただくことで、行動を変えていくことができます。
その行動が習慣化すれば、組織の「文化」「風土」に変わっていきます。
「文化」「風土」が変われば、社員が自動的に動いていきます。
研修はあくまで「きっかけ」づくりではありますが、そのきっかけから、
「文化」が組織に根付くまで、「伴走役」として、これからも様々な組織をご支援して参ります。