先日、関西地方のある中小企業にお招きいただき、「若手リーダー育成」の研修に登壇しました。
例によって、気づきを促す様々な対話やワークを行ったのですが、自分でも一番意味があったと思うワークをご紹介します。
それは、「上司からの手紙」です。
各受講者の上司に、部下へのメッセージを手紙の形式で書いていただくことを事前課題としてお願いしました。
あまり厳しいことや的外れなことを書かれても困るので(笑)、次の4つの項目を示して依頼しました。
① 部下の良いところ
② 部下の伸び代(改善、成長してほしい点)
③ 自分の関わり方(振り返る)
④ 部下の将来への期待
提出された「手紙」を事前に見せていただきましたが、心配したようなことはなく、皆さん、真摯に、部下を具体的な言葉で褒め、指摘すべきところは指摘し、自分自身の不足点を反省し、部下への期待や励ましの言葉を述べておられました。
そこで、安心して、各受講者に当日封書を配りました。
最初は驚いたり、中には「え?あの上司が?」と抵抗感を示す人もいましたが、皆さん、静かに、真剣に読んでいました。
「…素直に嬉しいです。」
「普段はこういう事は言ってくれませんが、ちゃんと見てくれているとわかって嬉しいです。」
「自分が期待されていることがわかり、頑張ろうと思いました。」
各グループから、異口同音に前向きな感想が聞かれました。
その後で「フォロワーシップ」の講義をし、上司に建設的な意見をしたり、率先してサポートする等の行動を伝えたところ、通常よりも納得感が高く、上司の指示で動くだけではなく、「自分が上司を助ける」ことを考えることができていました。
研修後のアンケートの声
👦「部下から上司への貢献もあると知って、今自分にもできることがあるとわかりました」。
👦「社内の人間関係が業務上の幸福感や充実感に通じることが分かった。部署内の雰囲気を良くしたい」
👦「上司を助けるという意識を持って仕事をしていきたいです」
企業にもよると思いますが、上司が普段はあまりコミュニケーションを取っていないことが、ままあると思います。
指示や進捗の確認といった業務上のやり取りだけではなく、部下をどう見ているか、何を認め、何を求め、何に期待しているか。
そうした一段深いやり取りを、時間を取って行うことをお勧めしたいと思います。
そうすることで、部下は承認欲求が満たされ、何をすべきかが明確になり、上司との信頼関係も深まって、チームとしての仕事がもっとしやすくなり、生産的になるはずです。
今回の上司の皆さんも、何も思っていなかったわけではないのです。
ただ、伝えていないだけなのです。
それは、とてももったいないことです。
「手紙」は、あくまで研修だからやったことであって書かなくてもいいのですが、1on1等の時間を持つとか、ちょっとした打ち合わせの際に伝えるとか、メールやチャットで伝える等、様々な機会・方法を捉えて、自分の思いを伝え、部下との相互理解を深めてほしいと思います。
それが、部下のやる気と主体性を引き出して、よい職場をつくっていくことにつながります。
あなたの会社では、上司は部下に大事なことを伝えていますか?
この記事が御社の関係性とコミュニケーションを見直すきっかけになれば幸いです。

