木こりのジレンマ~上手に仕事をするために必要なこと

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その昔、山道を歩いていた旅人が、一人の木こりを目にしました。


木こりは一生懸命斧で木を切っていましたが、木はなかなか切れません。
斧の刃が傷み、切れ味が悪くなっているようです。


旅人は見かねて、「木こりさん、刃を研ぐと、もっと早く、たくさんの木を切れますよ」と言いました。


すると、木こりは、こう答えました。

「木を切るのに忙しくて、刃を研いでる暇なんてないんだよ」。

よく知られた「木こりのジレンマ」という寓話です。

皆さんは、この木こりのことをどう思われたでしょうか?
自分自身や身の回りの人で思い当たる節があるでしょうか?

「ミーティングが大事なのはわかるけど、忙しくて話をしている暇もないんです」

「社員教育が大事なのはわかるけど、なかなか研修の時間はつくれません」

私は、こういう事を仰る経営者や管理職の皆さんのことを思い出しました。

いや、かく言う私も、直近の仕事に追われて、計画を立てたり勉強をすることが後回しになりがちだと反省します。

この寓話のメッセージは、「目の前のことばかりに追われていると、仕事の質を向上させることが後回しになり、ひいては効率の悪い仕事をし続けないといけなくなる」という皮肉めいた教訓だと思います。

実際、最近ご支援している内装工事関係の中小企業様でも、「現場での対応が忙しくて課内の情報共有ができていない」というお悩みをお聞きしました。

その結果、各現場の進捗状況がわからず、人をタイムリーに配置できないので余計遅れが出て現場の対応に追われるという悪循環が起きていました。

そこで、課長と課員でその問題について目の前で話し合ってもらったところ、結局「情報共有のツールが必要だね」という結論になり、改善に向けて動き出すことになりました。

その時間、わずか10分ほどでした。

この10分のミーティングを惜しむことで、日々膨大な時間をロスしてきたわけです。

このミーティングが、「木こりのジレンマ」で言うところの「刃を研ぐ」行為にあたります。

緊急ではないが重要なこと。
『7つの習慣』の「第2領域」です。

他にも、仕事における「刃を研ぐ」行為は実は色々あります。

・道具のメンテナンス
・情報収集
・勉強、教育
・業務の見直し
・仕組みの改善
・人間関係づくり
・計画づくり
・話し合い

自分一人でできる/すべき事を除けば、全て人との「話し合い」が必要になります。

ですので、組織活動では、やはり「話し合い」が特に大事だと、私はあらためて強調したいと思います。

そうは言ってもなかなかできない。どうしたらいいの?
と思う方もいらっしゃるでしょう。

もちろん、「刃を研ぐ」ばかりに時間を割くわけにもいきません。バランスが大事です。

定期的に、少しずつ時間を割くようにスケジュール化すること、で可能になります。

私は、ちなみに、その一つとして、毎月の最終日は「メンテナンス&ふりかえり」の日と決めていて、靴磨き等の保守作業と、業務の見直しを行っています。

目の前の事ももちろん大事ですが、そればかりにならないよう、長期的な視点で業務の効率化・質の向上を図るため、「刃を研ぐ」ということを忘れないようにしたいものです。

特に、人材育成のためには、研修等「教育の時間をつくる」ことが大切です。

時間の使い方に長けた熟練の木こりとして、木を上手に切って参りましょう。

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この記事を書いた人

井坂 泰成

合同会社ひとのわ代表社員。ファシリテーター・人材育成コンサルタント。東京大学文学部卒。NHKディレクター、国際協力NGO・JICA、コンサルティング会社等を経て創業。ファシリテーションスキルと元マスコミならではのわかりやすい説明力で、組織や地域における「対話」の支援とファシリテーションや支援型リーダー育成研修等の人材育成を行っています。