「頑張ってね」、と言ってませんか?



「頑張ってね!」
「頑張ろうな!」
「頑張って下さい!」


新入社員、部下、同僚等、相手が誰であれ、
励まそうとして、こう言ってませんでしょうか?


多分無意識のうちに使っている人が多いと思います。


一見何も問題のない言葉に思えますが、
言われる立場になって、どう感じるかを想像してみて下さい。


もしあなたが自分は既に努力している、成果は出していると思っていたら、
心の中でこう返すかもしれません。


「(頑張ってるんだけどな…)」

「(これ以上まだ頑張れと言うのか…)」

「(言われんでも、頑張ってるわ!)」


あまり気にしない人や、肯定的に励ましと受け取れる人ならいいのですが、
この言葉を文字通り受け取ると、ちょっと「圧迫感」のようなものを
感じてしまう恐れがあります。


なんと言っても、文法的には「命令形」で、相手に対する要求だからです。


声をかける側の内心に、「もっと相手を動かしたい」という欲があったら、
それが相手に伝わってしまうでしょう。


では、相手にとって、本当に励ましになる言葉、
元気になる言葉とはどういうものでしょうか?


それらを「頑張って」に代えて使うことをお勧めします。


例えば、こういうものです。


「頑張ってるね!」
「その調子で!」
「あなた、ほんと、すごいね!」
「ありがとう!」
「助かるわ!」



これらは「命令」でも「要求」でもない表現です。


上三つは「承認」です。
相手を認め、敬意を表しています。


下二つは「感謝」です。
相手の貢献に対して、自分がどう感じているかを「アイ・メッセージ」で表しています。


これで十分です。
「もっともっと」と要求する必要はないのです。
すれば逆に、相手のやる気は下がります。


それよりも承認と感謝の言葉の方が本当の意味で励ましになり、
「よし、もっとやってやろう!」と、やる気を引き出すのです。


「君はいつも何か工夫をしているね」ー


これは、私が20代の頃に上司にかけてもらった承認の言葉ですが、
「見てくれているんだ」と嬉しくなったことを今でも覚えています。


「これでいいんだ。もっと工夫しよう」と、やる気になりました。


これがもし、「頑張ってね」だったら?(笑)


聞き流して、とっくに忘れているかもしれません。


人を励ましたかったら、悪気はなくても「もっと」と要求するような
「頑張って」を使わないこと。


それよりも、既にある人の頑張りを認める言葉をかけることです。


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この記事を書いた人

井坂 泰成

合同会社ひとのわ代表社員。ファシリテーター・人材育成コンサルタント。東京大学文学部卒。NHKディレクター、国際協力NGO・JICA、コンサルティング会社等を経て創業。ファシリテーションスキルと元マスコミならではのわかりやすい説明力で、組織や地域における「対話」の支援とファシリテーションや支援型リーダー育成研修等の人材育成を行っています。