「会社を自走型組織にしたい」と、経営者の皆さんであればお考えではありませんか?
そういう方に、これまでもよくお目にかかりました。
では、どうしたらいいのでしょうか?
と言うと、なかなか苦労や試行錯誤されているケースが多いのが実情ではないでしょうか。
その答え、と、私が思うことがあります。
それは、「社員間の本音の対話」です。
それも、同じ階層同士の「横」だけではなく、上司と部下の「縦」の関係も含めた対話です。
先日、それを確信する場に立ち合わせていただきました。
「自走型」への組織変革を専門にしている株式会社ミライズ創研様が、クライアント企業に提供している変革プログラムの中の研修です。
同社が主宰する「組織変革塾」に私が入塾して学んでいることから可能になりました。(他の先達の場を拝見する機会はなかなかないので、とても勉強になります)
あまり詳しくは書けないので、簡潔に述べると、「研修」と言っても、その場は、ひたすら「対話」の時間でした。
ある事業所の部長(幹部層)と課長が、組織のあり方やコミュニケーションのあり方について、与えられたテーマや、自分たちが話したいテーマを選んで、グループを変えながら一日かけて話し合いました。
通常の会議とは違い、文字通り「膝を交えて」の対話の場です。
お互いへの感謝を伝え合うことで「認め合う」関係が生まれ、話しやすくなった雰囲気の中で、普段は言えていない意見や疑問を出し合うことができていました。
その中には、上司にとっては「厳しい」意見もありましたが、それも含めて、お互いが思っていること、相手には自分たちの言動がどう映っているかがわかり、相互理解が深まっていました。
一日の最後のふりかえりでは、上司からは「これまで自分がいかに伝えることをさぼっていたか、と思った」という内省の声だったり、部下からは「言いたいことを言えた。職場が変わる期待を感じた」「部長はやはり広い視野を持っている。自分もそうありたい」「信頼関係が大事。達成感があった」等、多くの気づきの声が聞かれました。
また、30人近くいるにも関わらず、皆が自発的に手を上げて発表していたこと、そして、声のトーンがハキハキして、よどみなく、朝とは明らかに変わっていたことが印象的でした。
もちろん、この日だけで、具体的な行動が決まったわけではありません。
このプログラムは半年〜1年、もしくはそれ以上の長期的な取り組みであり、私が参加したのはあくまでその中の1日であり、1ステップです。具体的なことはこの後で話し合われることになります。
結論を急ぐ人にとっては、「まだるっこしい」と映るかもしれまえんが、一人一人の「やる気」は、このような相互理解の場があって、場が「温まって」初めて生まれてくるのであり、そのステップが必要だということをあらためて実感しました。
組織を「自走型」に変えていくには、社員自身をいかに「やりたい」気持ちにさせられるかが肝です。
そのためには、現場の社員だけを変えようとする「社員教育」では不十分なのでしょう。
組織全体を対象に、縦・横の相互理解と信頼関係を、対話を通して育むこと。
不安や疑問を払拭し、「どうありたいか」の共通のビジョンを持つ場とプロセスを持つこと。
そして、そのための時間を十分にかける必要があることを、あらためて学びました。
あなたの組織は十分に「温まって」いますか?
もし不安があるなら、「対話の場」を取り入れてみませんか?