最近の仕事の中で特に嬉しいことがありました。
それは、研修の受講者の皆さんが職場で実際に対話をしてくれて、
そこからの気づき・学びがたくさんあったことです。
これには、お願いした私自身が驚き、ちょっとした感動を覚えました。
その研修の依頼主はある全国組織の介護事業所で、受講者は各施設の現場
リーダーになったばかりの皆さんでした。リーダーはどうあるべきか、何
をしたらいいのか、自信がない方も多い状況でした。
そんな中で、研修の事前課題として、各受講者に施設長、スタッフと、それ
ぞれ一対一の対話をするようお願いしました。施設長とは施設のあるべき姿、
リーダーに望む役割等を話し合い、スタッフにはその人の良さを褒め、成長
課題を伝え、職場の改善に向けて意見を聞き協力を仰ぐ、という内容でした。
大事な話ですが、日頃は業務に追われ、また、気後れもあってなかなかこう
いう対話はできないと思います。あくまで「研修の課題だから」という設定
だったので、取り組んでもらうことができました。
その結果を研修で報告していただいたところ、「施設長のビジョンに共感で
きた」「同じことを考えていることがわかった」「褒めるとやる気になって
もらえた」「スタッフの方がよく考えていることがわかった」「信頼関係が
できた」「一人で頑張ろうとしていたが、力を借りればいいとわかった」等、
本当にたくさんの気づき、喜びの声があり、私まで嬉しくなりました。
もうこの事前課題とふりかえりだけで、研修はいらないのでは?
と思ったぐらい、生の対話こそ意味があり、最高の学びの場だと思いました。
ちなみに、この事前課題、実は「怪我の功名」で生まれたのです。
オンライン研修でしたが、受講者同士の会話ができないツールだったため、
演習はできない。
であれば、講義だけでは面白くないので、日頃は演習ですることを、実際の
相手と生のテーマで話し合ってもらおうと思ったわけです。
ツールの制約を聞いた時、最初は何ができるかかなり悩んだのですが、あき
らめずに考えた結果辿り着きました。
研修後のアンケートでも受講者の皆さんが一様におっしゃっていたのは、
「対話の大切さがわかった」ということでした。
短い時間でいいから、一人一人と大事な話を定期的にすること。
「忙しいから」と業務ばかりに時間を費やすのは、ある意味で「逃げ」なのです。
リーダー的な立場の仕事の半分は「人と話すこと」だと、私は思います。
そんなことを実感させてくれた体験でした。
現場での対話が何よりの学び!(最近の仕事から)
この記事を書いた人
井坂 泰成
合同会社ひとのわ代表社員。ファシリテーター・人材育成コンサルタント。東京大学文学部卒。NHKディレクター、国際協力NGO・JICA、コンサルティング会社等を経て創業。ファシリテーションスキルと元マスコミならではのわかりやすい説明力で、組織や地域における「対話」の支援とファシリテーションや支援型リーダー育成研修等の人材育成を行っています。