意味を伝えると、人は動く—やりがいを生む「目的の教え方」(「仕事の教え方」シリーズ2/4)

ファシリテーションのことなら、神戸市の専門家にお任せを。ファシリテーションとはアジェンダを整え、会議を円滑に進行し、チームの力を最大限に引き出すこと。ファシリテーター(支援型リーダー)とは単なる司会ではなく意見とやる気を引き出す役割。中小企業等の組織活性化、心理的安全性の向上、風土づくり、チームビルディング、リーダーシップ、SDGsの促進等に必須のスキルです。管理職等の人材育成、社員教育に、その意味や手法、コツを研修や講座でお教えします。オンライン会議、WEB会議も対応。地域は関西はじめ全国に対応。

「うちの社員は主体性が低いんですよ。自分で考えて動かない…」

こんなお嘆きの声を、経営者や管理職の皆様からよくお聞きします。

一方で、当の社員に話を聞くと、上司や会社に対する不満を聞くことがよくあります。

その「ギャップ」を生んでいることの一つが、実は、上司の「教え方」です。

ある現場で気づいた「ギャップ」

以前、ある製造業の会社を支援したときのことです。

管理職の方々に話を聞くと、「うちの若い社員は、やる気がない。言われたことしかやらない。自分で考えようとしない」という声が口をそろえて出てきました。

では、社員の方々はどう感じているのか。今度は現場のスタッフに話を聞いてみました。すると、こんな言葉が返ってきました。

「上司は『これをこうしろ』とは言うんです。でも、なぜそうするのかは教えてくれない。一方的に手順を言われるだけで、自分で工夫する余地がどこにあるのかもわからない。だから、モチベーションがわかないんです」

上司は「やる気がない」と言う。部下は「意味がわからない」と言う。

この両者の間にあったのは、能力の差でも、世代の差でもありませんでした。

「なぜ」が伝わっていない、ただそれだけのことでした。

「なぜそうするのか」がわからなければ、工夫のしようがありません。

自分なりに改善しようにも、何がゴールなのかがわからない。結果として、言われた通りにやるしかなくなります。

「指示待ち」は、部下の問題ではなく、教え方の問題であることがほとんどです。

「何をするか」は教えても、「なぜするか」は教えていない

仕事の教え方には、大きく二つの要素があります。

How(何を、どうやるか)と、Why(なぜ、何のためにするか)です。

多くの職場では、Howは丁寧に教えます。手順、フォーマット、期限。

でも、Whyはほとんど伝えられていません

「なぜこの書類が必要なのか」「この仕事は最終的に誰の役に立っているのか」——そこが抜けたまま、作業だけが渡される。

人は、意味のわからないことを、丁寧にやり続けることはできません。

「言われたからやる」と「意味がわかってやる」では、仕事の質も、続ける力も、まったく違います。

「意味」を伝える3つの視点

仕事の意味を伝えるには、3つの視点があります。

① 全体像を見せる 

「この仕事は、全体のどこに位置しているか」を伝えます。自分がやっていることが、どんな流れの一部なのかがわかると、仕事への向き合い方が変わります。

② 後工程への影響を伝える 

「あなたのこの作業の後、誰が何をするのか」を具体的に伝えます。「あなたの仕事を受け取る人がいる」という意識が、丁寧さを生みます。

③ 顧客・相手への影響をつなげる 

最終的にその仕事が「誰の、どんな場面で役立つのか」を伝えます。顧客や利用者の顔が見えた瞬間、仕事は「作業」から「貢献」に変わります。

今日から使える「Whyを伝える」言葉

具体的には、こんな言葉が使えます。

仕事を渡すとき

  • 「この仕事はね、最終的に○○さん(お客様・利用者)のために使われるんだよ」
  • 「あなたがここを丁寧にやってくれると、次に受け取る○○さんがとても助かるんだ」
  • 「この作業、全体の流れの中でいうと、こんな位置にあるんだよ」

問いかける形で伝えるとき

  • 「この仕事、誰のためにやってると思う?」
  • 「あなたの仕事の後、これはどこにつながると思う?」

問いかけることで、相手が自分で意味を考えるようになります。「教えられた意味」より「自分で気づいた意味」の方が、はるかに長続きします。

「意味」を伝えることは、相手を信頼することでもある

「そんな説明、時間がかかる」と思う方もいるかもしれません。

でも、意味を伝えずに作業だけ渡し続けることの方が、長い目で見ると、はるかに時間とコストがかかります。ミスが増え、モチベーションが下がり、やがて「この仕事、自分がやる意味があるのか」という問いを抱えたまま、職場を去っていく人が出てきます。

「なぜこの仕事をするのか」を伝えることは、単なる説明ではありません。「あなたの仕事には意味がある」「あなたは会社に貢献している」「あなたはお客さんを喜ばせている」というメッセージでもあります。

それは、相手への信頼と敬意の表れでもあります。

まとめ:人はWhyで動く

  • 仕事の教え方にはHow(手順)Why(目的)がある。多くの職場でWhyが抜けています
  • 「なぜこの仕事をするのか」を伝えるだけで、仕事の質と向き合い方が変わります
  • 全体像・後工程・顧客への影響、この3つの視点でWhyを伝えましょう
  • 問いかける形で伝えると、相手が自分で意味を見つけるようになります

「手順」を教えるだけでは、人は動けても動き続けられない。
「意味」を伝えてはじめて、人は自分から動き出します。


合同会社ひとのわは、対話を通じた組織づくりと人材育成を支援しています。「仕事の教え方」をテーマにしたセミナーも開催する予定です。

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この記事を書いた人

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井坂 泰成

合同会社ひとのわ代表社員/組織開発ファシリテーター。一人一人が主体的に動いて協力する「自走型型組織」づくりの対話支援と人材育成を行っています。東京大学文学部卒。NHKディレクター、JICA、コンサルティング会社等を経て創業。神戸市在住。